移り気なピヨの山の日々の綴り事

ピアノが無残な姿に…

私は子供の頃、ピアノを習っていたので今でも実家にはピアノがある。
でも、実家ではピアノを弾く人がいないので、ピアノは置物と化している。

それだけなら別にいいのだけど、私のピアノは長らく憂き目に遭ってきた。
というのも、母親がピアノを物置台替わりにしているからだ。

ずっと以前から『ピアノが歪んでしまうから、上に物を置かないで！』と散々注意してきたのだけど、一緒に暮らしていないので私の忠告は聞き流されるばかり。

ピアノのてっぺんが平らなのをいいことに、母親は物を置き放題。
それも、載せるのは新聞だの書類だのと、積み上がるとそれなりの重量になる紙類ばかり。

父親も時々は注意している、のだそうだが、母親にとってはどこ吹く風。
それがもう長いこと、私が実家を出てからずうっと、長ぁーいこと続いてきた。

た・・・助けて・・・！！

この惨状…酷すぎる。

いくら平らだからって、これは無いでしょう…。ピアノ、泣いているよね。

たまに私が実家に帰った折には、ピアノを弾いてみたりするのだけど、もう調律も全くしていないし、上に物は載せ放題だしで、ひどく悲しい音しか出ない。

そして悪いことに、だんだん鍵盤の蓋が歪んできたのか、開けようとすると途中で引っかかるようになってしまった。

「これはまずい！　きっと長年、上に物を積み重ねたせいでピアノが歪み始めたに違いない！！」

危機感を感じた私は、ピアノを現状から何とか救い出さないと、と思い始めた。

母親がピアノに載せているものをすべて撤去してくれればそれがいちばんなのだけど、それはこれっぽっちも望めそうにない。

こうなったら、ピアノを実家から移動させるしかない。
といっても、私の今の住まいにはピアノを置けるスペースは無いし、いずれは手元に引き取って弾きたいと思っている（現在は週１でレンタルスタジオで自主練習をしている）ので、長年使っていないから売ってしまおう、という選択肢は無い。

ピアノを置けるレンタルスペースを探してもみたけれど、あいにく条件に合うものは見つからなかった。

いろいろ探した結果、ピアノ保管サービスをしている業者さんに預けるのが現状の最善策だという結論に。

ネットで業者を探して問い合わせたり、HPをチェックしてみたりしたけれど、いまひとつ決めきれない。

そこで、私がピアノを習っていた頃にお世話になっていた調律師さんに問い合わせてみることにした。

もう、二十年以上ご無沙汰しているので、今も調律師を続けていらっしゃるのかもわからなかったのだけど、ネットで検索したら一発でヒット！

インターネットって凄ぉい。と改めて感心してしまった。

幸いにもその調律師さんは今も現役で、我が家のことも覚えていて下さった。
早速、久方ぶりに実家までご足労を願って、ピアノの様子を見ていただいた。

ピアノ、息を吹き返す

ふぅ～、すっきりしたぁ。

大量の荷物が片付けられてやっと本来の姿に。

ピアノは幸いにも無事だったらしく、古くなった弦や部品を交換する程度で大丈夫だとのこと。

鍵盤の蓋が引っかかって開きにくくなったのは、蓋に塗ってあるワックスが経年によって乾燥してしまったからだという事だった。

書類の重みで蓋や筐体が歪んでしまったのではないかと絶望しかかっていたので、無事だとわかって本当に嬉しかった。

このピアノを、私が引き取るまでの間、数年単位で預かって保管してもらえるところはないかと調律師さんに相談すると、長年お付き合いのある運送業者さんにお願いしましょうと提案して下さった。

その運送業者さんに運び出してもらい、倉庫で預かってもらいましょう、と。
信頼できる調律師さんが長いお付き合いをしているところと聞いて、私も一安心。

ほどなくピアノを運び出す日程も決まり、ついにピアノは実家から引っ越すことになった。

運び出す当日、私は立ち会えなかったのだけど、ピアノは本体と足を分解して手際よく運ばれていったそうだ。

それからしばらくして、調律師さんから連絡が来た。
「うちの倉庫の一角が空いたので、ピアノはそこで保管します」と。

という事で、私のピアノは調律師さんの元で当分の間、居候の身となった。
保管料も格別のお計らいでとても安くして下さったので大助かり。

あとは私が資金調達をして、ピアノの部屋を用意するだけだ。

…するだけなのだけど、それが、いちばん難しそう！

自分の音楽室で自分のピアノを存分に弾くという目標に向かって、頑張らねばー！！